竹内大輔の写真日記(~2009)
ピアニスト竹内大輔の、2009年までの日々を綴った日記です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

旅日記 7.(韓国編・…2006.10.18~10.21)
 今回の旅日記のタイトルは…“韓国編”です。1日目の到着は夜だったものの、全工程3泊4日にしては色々と周る事が出来たので、思い切ってタイトルを国の名前にした次第であります。確かに、ソウルはもちろんのこと、釜山(プサン)、大邱(テグ)、そしてDMZ(正しくは、ギリギリ手前ですが…)と、わりと広範囲に及んだ旅になっていたので、これで良いのかもしれません。また、1人旅だったこともあって、内容的にはかなり濃いものになっていますので、心して読んで下さい(笑)。それではどうぞ!

 ※この記事は、昨年5月に行った韓国鉄道の旅〔Dixie Pork のHP、竹内大輔の海外日記9参照〕の
   内容を前提として、話しを進めていってます。文章中、色々と難しい表現?が出てくるかと思われます
   ので、1度その海外日記に目を通してから、改めてこの記事を読まれた方が良いかもしれません。
   なるたけ内容的に重複させたくないという思いがあっての事です。よろしくお願いします。


 ●成田空港第1ターミナル新南ウィング

 いきなり日本の話しか!…という感じですが、この第1ターミナルの新南ウィングは、今年の6月にオープンしたばかりの新しいターミナルです。ここを主に使用するのはにほんの航空会社全日空(ANA)、また、ANAも加盟するスターアライアンスメンバーの航空会社達です。今回韓国往復に使った飛行機は、アシアナ航空という韓国の航空会社で、これもスターアライアンスに属しているので、自分もこのターミナルを使用することができたわけです。

   時間的に、さすがに空いてました…

 新しいだけあって、さすがに内装は綺麗で、しかも色々なところに新機軸が盛り込まれています。全部で126台の自動チェックイン機(世界最大規模)や、手荷物検査に「インライン・スクリーニング・システム」(手荷物の預け入り後に検査が行われるため、チェックイン前の手荷物検査が不要)を導入するなど、日本の表玄関に相応しい設備が整っているのです。自分が乗る便は、成田20:30発とかなり遅い便だったので、ターミナル内は閑散していましたが、混雑時には、よりスピーディーなチェックインが行われているのではないかと思います。
 また、国内最大規模の免税店ショップがあることも見逃せない点で、中でもエルメスやフェラガモは、空港免税店としては世界最大規模を誇っています。これらの店は税関を過ぎると、目の前のコンコースにずらりと並んでいるわけですが、そのコンコースの長さとは、何と約270m!…ここにズラリと世界の名店が並ぶ様は、正に圧巻とも言えます。

   免税店がズラリと並びます   日本全国のお土産をここまで揃えるとは…

 このエリア(税関後のエリア)には日本全国のお土産が買える「Fa So La 藤娘」というお店があり、店内を“和”の雰囲気にしていて、外国人観光客に喜ばれている他、意外にも日本人にも人気があるそうです。しかし、ここに“白い恋人”や“よーじや”があったのは流石に驚きました(しかも、免税で買える)。
 この他、出発階(4階)には TSUTAYA があり、旅行中にCDやDVDの貸し出しを行っているなど、成程と思わせるお店が沢山あります。自分の行った時間帯は、ほぼ最終便に近かったため、それほど活気があるような感じは見受けられなかったのですが、今度はお店をじっくりと見てみるのも有りかもしれませんね。


 ●仁川(インチョン)国際空港で1泊

 先程も言ったように、今回ソウルに向かった便は遅く、ソウルの表玄関である(韓国の…と言っても良いですね)仁川空港到着は23:00というものでした。この便はソウルに向かう飛行機としては最も遅いもので、韓国人には人気の便なのですが、日本人からすると到着が遅すぎて、ちょっと観光には向かない便でもあります(そのためか結構空いてました)。自分は格安航空券で買ったので(一応、午後便指定というものでしたが…)この点では諦めるしかないわけですが、時間を有効に使うために次の日は朝が早いということを考えると、この日ホテルに泊まるのは何か勿体無い気がします。

   仁川空港にて…やはり時間的にガラガラでした

 そこで自分が思いついたのは、空港で1泊してしまおうというものでした。色々と調べてみると、この仁川空港には Sky Dream というサウナが設置されているお店(日本で言うスーパー銭湯みたいなもの)があり、24時間営業で仮眠所もあるというのです。これを使わない手はありません。このお店の場所は、空港のフロアとしても穴場とされている地下1階にあり、回りのお店が閉まっている中、ただ1つだけ明かりが点いていたので、すぐにそこだと判りました。
 料金は15000ウォン(約1800円…1円=8ウォンで計算…最近円安になった…)で、睡眠室(仮眠所)も利用可という事です(5:00~20:30に入ると10000ウォンで、睡眠室は利用不可らしいです)。

   日本語でも“サウナ”と書いてあります   ドアの向こうには大(?)浴場が…

 入り口でお金を払い、番号の付いたロッカーの鍵を渡されます。そのまま靴を脱いで中に入ると、脱衣所と浴場があって、脇にはマッサージ椅子も設置されたりしていて、本当に日本の銭湯さながらでしたが、自分はすぐに睡眠室に向かいました。明日の朝は早いので、すぐに寝ておこうと思ったのです。
 睡眠室はもちろん電気が消えていて、既に10人弱ぐらいの人達がマットの上で横たわって寝ていました(マットの数は30弱といったところでしょうか)。マットには枕とシーツが用意されており、自分の好きな場所を使う事ができます。これくらい空いていれば良いのですが、ちょっと満員だときついかな…という感じでした(実際、遅い時間になって少し混んできて、最終的には20人くらいの利用者がいたと思いますが、その時点で自分は周りの人達が気になってしまいました)。
 もちろん海外でこういう経験は初めてだったので、なかなか寝付けなかったのですが(だいたい、23:00過ぎで自分が眠れるわけもないのですが…)、この雰囲気にも慣れたのか、いつの間にか寝てしまったようです。そして朝3:30に目覚め、空港4:00発のソウル駅行きのバスに予定通り乗る事ができました。

   仁川空港から乗ったエアポートリムジン

 しかしこのバス、自分の他には韓国人乗客が1人しかいなく、しかも途中でバスを乗り換えさせる等、いかにも不安にさせるという状況が多々ありました(言葉が分からないまま、途中の知らない街、しかも深夜にバスから降ろされるという状況を想像してみて下さい…)。それでも何とか無事に韓国鉄道のソウル駅に5:20頃到着、自分は6:00発の電車に乗りたかったので、結果的には予定通りという事になりましたが、せっかく一時的に疲れを癒したはずだったのに、この出来事で一気にまた疲れが出てしまった感じでした…。空港で1泊というのは、本当に余裕がある時にした方が良さそうですね(笑)。


 ●韓国鉄道(通勤電車を除く)について

 韓国を走る鉄道は、地下鉄を除くと、その全てが韓国鉄道公社によって運営されています。いわゆる国鉄です。2004年までは鉄道庁が運営していましたが、2005年からは上下分離化により、公社化されました。ここでは、ソウル近郊を走る通勤電車(広域電鉄)意外の列車を対象に、色々話してみたいと思います。

   広くて立派なソウル駅構内   始発駅以外では、2、3分程度の遅れは日常茶飯事かも…東大邱駅にて…“Delay”の欄に注意!

 韓国の鉄道は優等列車中心の運行となっていて、鈍行列車というものが非常に少ないのが特徴です。そして、日本のJRのように特急、急行、普通…といった列車種別がありません。では何によって区別するかというと、車両の種類によって区別するのです。…といっても、車両にそんなに種類があるわけではなく、速いものから順に、KTX(日本で言う新幹線に相当)、セマウル号(特急列車に相当)、ムグンファ号(急行列車、鈍行列車に相当)、そしてトングン列車(主に都市近郊の普通列車)…となっており(料金も列車によって違います)、全国どの路線に乗ってもこれらの愛称を用いていて、日本のように行き先で列車名が変わるという事はありません。
 切符の買い方や、乗車、降車のシステムは日本とほとんど変わらず、気軽に利用することができます。また、時刻はほぼ正確ですが、始発駅以外では2、3分の遅れはよくあるようです。料金は総じて安く、ソウル~釜山間(日本の東京~米原間に相当)で、最も高いKTXの特室を利用しても、62700ウォン(約8000円)程度です。さらにムグンファ号の普通車利用だと、24800ウォン(約3000円)で行く事ができてしまいます。では、それぞれの列車について見ていくことにしましょう。

   ・KTX

   フランスの技術が使われたKTX…東大邱駅にて   特室は、ドアの部分に赤色のラインが入っています

 まずは、韓国版新幹線とも言えるKTXです。2004年4月1日に開業してからというもの、韓国鉄道を代表する列車となっております。厳密に言えば、日本の新幹線とはシステムが大きく異なっているのですが、旅行者にとってはあまり問題の無い話しでしょう。
 車両は元々、運転時間が短いということを考慮して造られたのか、そんなに広くない客室となっています。韓国鉄道は、在来線の車両が日本の新幹線ぐらいの大きさだったりするのですが、逆にKTXの車両は、在来線よりも小さいサイズなのです。そのため普通車に座ると狭く、しかも座席は回転できないため(集団見合い式)、半分の座席は進行方向と逆向きの座席になってしまいます(この座席の料金は、通常の5%引きだそうですが…)。
 今回自分は特室(First Class…JRで言うグリーン車)にも乗ってみたのですが、座席は広いもののやはり車両は狭く、ゆったりとした印象はありませんでした。完全にビジネス志向の列車だとも言えるでしょう。

   横3列の設定となっている特室の車内   客室上部のモニターには、日本語(中国語)表示もあります

 遊び心的には乏しい列車ですが、これによりソウル~釜山間は2時間40分程度で結ばれることになり(それまで4時間強は掛かっていました)、利便性は飛躍的に向上し、だからこそ自分は今回、ソウルから日帰りで釜山市にも大邱市にも行けたのです。これによる経済効果も抜群かと思われ、残る大邱~釜山間の高速鉄道線の開通が待ち遠しいですね(これが完成すると、ソウル~釜山間は1時間50分で結ばれるらしいです)。

   ・セマウル号

   KTXができる前までは韓国の花形車両だったセマウル号   セマウル号の一般室は、KTXの特室よりもゆったりしてます

 KTXができるまでは、韓国鉄道の花形だったセマウル号。車内は豪華で、この列車の一般室は、KTXの特室よりもゆったりしているのではないでしょうか。KTXができてからは停車駅も増え、現在では補完列車的な意味合いが強いですが、その豪華さとKTXより安い値段設定のためか、今でも根強い人気を誇っています。
 自分は東大邱~ソウルでこの列車を使ったのですが、発車2時間前の時点で、残り座席数はたった5席でした(セマウル号は全車指定席です)。16両編成という長い編成にも関わらず、また、同じ時間帯には同じ区間を俊足で走るKTX(セマウル号が3時間半かかるのに対し、KTXは1時間半で走破)があるにも関わらずです。本数が少なくなった理由もありますが、中小都市を結ぶ足(要するに、短・中距離利用も多い)としても重要視されている…ということが窺えるというものです。

   ・ムグンファ号

   韓国の、地方の庶民の足ともいえるムグンファ号   庶民の足にしては豪華な車内です

 昔は特急列車とも訳されていたムグンファ号ですが、最近では鈍行列車の廃止などで、急行から鈍行列車までに相当する列車の位置付けとなりました。ほぼ全ての路線で見られ、韓国鉄道輸送の中心的な存在となっています(時間の都合で、今回は乗車はしませんでした)。
 車内はJRの在来線の特急並ですが、車内が広いので居心地は悪くないです。セマウル号よりもさらに安い値段設定となっていますが、やはりその分時間も多くかかってしまいます。ムグンファ号が普通で、他は特別な列車と考えたほうが実情に合っているような気もします。

   ・トングン列車

   トングン列車使用の代表的な路線、京義線…ソウル駅にて

 最後に、都市近郊の普通列車としてトングン列車を挙げておきます。トングン…とは韓国語で“通勤”という意味なのですが、もちろん通勤時間帯意外にも走っているので、何となく名称に矛盾が生じているような気もします。車両はディーゼル車で、車内は転換クロスシートです。
 全ての路線で走っているわけではなく、釜山や大邱の近郊列車や、ソウル近郊の京義線(キョウインソン)、京元線(キョンウォンソン)等で全車自由席列車として走っています。つまり、ソウルと釜山を結ぶ京釜線(キョンブソン)等の幹線では走っていないということです。こういった路線での鈍行列車というのは、先程も言ったようにムグンファ号が担当しているのです。

 このように、列車体系に関しては、日本と異なる所が多々あります。また、ほとんどの列車が全車指定席列車というのも見逃せません(KTXは2両だけ自由席を連結、ムグンファ号は満席時に立席券を発売)。基本的に、窓口で何時発とかの列車名を言い、切符を購入するのです。まだまだフリークェンシーというのには程遠いかもしれませんが、混雑時には予約は早めに…が大事かもしれませんね。


 ●釜山と大邱の地下鉄

 今回の目的地は一応ソウルでしたが、KTXに乗り、釜山と大邱にも行く事ができました。しかし、これらの都市で行った事と言えば、地下鉄に乗ってきたという事くらい(笑)。市内観光なんてしていません!
 しかし、地下鉄に乗ることで現地の乗客達の様子が分かり、これで、ある意味観光にもなっていると思っているので、自分的には全然構わないのです(むしろ、必要な事かと…)。さすがに完乗というわけにはいきませんでしたが、全ての路線には何かしら乗る事ができました。それでは、両都市の地下鉄を見ていくことにしましょう。

   ・釜山地下鉄

   釜山地下鉄1号線…ラインカラーはオレンジ   爽やかなイメージの釜山地下鉄2号線…ラインカラーは黄緑

 1985年に初めて開通した釜山の地下鉄は、現在3号線まで開通しており、総延長距離は88,8kmにもなっています。3号線は2005年の11月28日に開業したということで、まだまだ新しい路線ということになります。この路線は全駅にホームドア(韓国ではスクリーンドアと呼びます)が設置されており、これは韓国初とのこと。車内は案内用の液晶モニターが設置されており、正に最新式の地下鉄と言えるかもしれません。

   ホームドアが目新しい釜山地下鉄3号線…ラインカラーは茶   最新型に相応しい、釜山地下鉄3号線の車内

 この車両は、韓国内で2004年4月に開通した光州市の地下鉄と、2006年3月に開通した大田(テジョン)市の地下鉄と同デザインであり、地下鉄の車両には新しい標準化が進められているような気もします。

   ・大邱地下鉄

   2005年10月に開通したばかりの大邱地下鉄2号   座席の形状が面白い、大邱地下鉄2号線の車内

 大邱市に地下鉄が開通したのは1997年のこと。大邱市では現在2号線まで開通しており、その総延長距離は53,9kmになっています。
 恐らく日本でも、大邱市の地下鉄については聞いたことがある…という方が多いのではないでしょうか。これは、2003年に大邱地下鉄の中央路(チュンアンノ)という駅において火災事故が起き(自殺願望者の男が、車内にガソリンを振り撒いて火災を起こしたらしいです)、多数の犠牲者が出て、日本でも報道で大きく取り上げられたからだと思います。
 この時の地下鉄の車両は難燃材を用いて製造されていたのですが、熱には弱い材質であったために、瞬く間に火は編成全体に広がってしまう結果となってしまいました(しかもその後、異常を知らされていなかった対向列車が駅に入線してしまい、その編成にも火は燃え移り、むしろその編成の乗客の方が犠牲者は多かったのです)。この事故をきっかけに、日本国内の地下鉄では防災管理の見直しと避難訓練等が行われたのですが、韓国内では最近やっと、難燃材ではなく不燃材を用いた車内への改装が終了した感じです(昨年ソウルの地下鉄に乗った時は、一部の座席はまだ難燃材を用いていたと思います)。

   トークン型が珍しい、大邱地下鉄の切符   2003年に火災が起きてしまった大邱地下鉄1号線

 …というように、あまり良いイメージではなかった大邱地下鉄でしたが、乗ってみれば普通の韓国の地下鉄と何ら変わり無い感じでした(当たり前です)。また、ここの地下鉄では切符はコイン型のトークンを用いていて、そのトークン内にはICチップが組み込まれており、改札では日本の Suica のように、触れて通るシステムが導入されています(降りる時には回収されます)。2号線も開通した事だし、これからはトラブルも無く、順調に発展していけば良いなとは思いましたね。


 ●泊まったホテル、明洞(ミョンドン)ビズ

 ちょっと鉄道の話しが続いてしまったので、閑話休題として、今回泊まったホテルの話しをします。

   このような細い道沿いにホテルは位置します   入り口のキャラクターが、何となく愛嬌があります

 今回泊まったのは、ソウルの市内中心部に位置する“明洞ビズ”というホテルでした。ソウルの観光情報サイトでは、ホテルのランクは『一般ホテル』に分類されているものの、予想以上に良いホテルだったと思います。自分は1人で泊まったので1泊5000円くらいでしたが、ツインで2人利用だと、税金込みでも1人3500円くらいに抑えられると思います。
 地下鉄2、3号線の乙支路3街(ウルチロサムガ)という駅が最寄り駅で、徒歩1分くらいと好立地(コンビニが駅前にあります)。何故か周辺には印刷工場が多く、あまり物静かな場所ではありませんでしたが、ただ泊まるだけだったら全然構わないはずです。
 また、繁華街である明洞までは徒歩7分、東大門(トンデムン)までは地下鉄で2駅と、さらに2005年10月に完成したばかりの清渓川(チョンゲチョン)へも徒歩約5分と、確かにこのホテルは、観光をするにも便利な場所にあると言えそうです。

   今回泊まった部屋(ちょうどドラえもんが放送中でした…笑)

 部屋には基本的なアメニティーは揃っていて、全室バスタブ付き、全室オンドル(韓国伝統の床暖房です)付きで、冷温浄水器(写真参照)も設置されています。
 また、ホテルの1階にはインターネットコーナー(パソコンが4台設置)があり、無料で使用できます(日本語の入力が可能です)。それと、朝食(トースト&コーヒー・紅茶、さらにお粥も!)は無料となっています。
 スタッフはほとんどの方が日本語を話せて(日本人スタッフもいます)、しかも皆さん親切なので、特に困った事は全くと言って良いほどありませんでした。価格の良さと、ロケーションの安さ、そしてアットホームなスタッフの雰囲気と、ほとんど申し分の無いホテルです。多くを求めない人にはピッタリかもしれません!


 ●京義線とDMZ

 韓国鉄道には、ソウルから北上していって、都羅山(トラサン)という駅まで延びている京義線という路線があります。これは、かつて北朝鮮まで延びていた路線で、現在は北朝鮮との分界線で途切れてしまっていますが、韓国の鉄道の旅に来ている自分にとって、この路線は外せません。
 しかし、〔韓国鉄道がメインのはずだった…〕の記事を見ていただければ分かるとおり、この終点の都羅山という駅は民統線の内側にあり、無許可では行く事はできません。ソウル発のツアーで、バスでそれらに行くものは沢山あり、その中には都羅山駅見学が含まれているものもあるのですが、ここはせっかくなので個人で鉄道で向かいたいところです。
 現在、ソウルから鉄道(京義線)で都羅山駅を訪れるには、2通りの目的でしか許可できません。1つは駅から出発するDMZ見学へのツアー参加、そしてもう1つは駅そのものの見学です。ソウル駅で都羅山までの往復券(都羅山駅では乗車券の発売をしていないため)は買えるのですが、発売枚数には制限があります(1列車300枚までで、そのうちソウル駅での発売は100枚まで…そして、DMZツアーに行けるのは180人までです)。
 気になる列車の運行状況ですが、都羅山駅行きの列車は1日3本のみです(この内、DMZを見学できる列車は2本のみです)。しかし、全て直通で乗ることはできません。1つ手前の臨津江(イムジンガン)という駅で全員降ろされ、さらに都羅山駅へ向かう人は申請手続きをしなくてはならず(外人はパスポートが必要です)、その1本あとの列車で向かわなくてはいけないのです。
 このように、少々面倒な手続きがあるのですが、せっかくなので自分はDMZツアーに参加できる列車に乗ることにしました。都羅山駅までの乗車券は、発売枚数に制限があるということで前日に購入し(3日前から購入できるそうです)、まず向かうは臨津江駅です。

   
   臨津江駅を出ると、早速旧線の橋脚が目に入ります   この境が民統線で、無許可では立ち入り禁止

 ソウル駅7:50発の列車は、臨津江駅には9:10頃に到着。駅を降りてすぐの所にDMZ案内所があり、見学者はそこで申請をするのですが、まだ窓口が開いてない感じでした。あれ?…と思い、同じ目的の人がいるかと辺りを見渡したのですが、どうやらそんな人もいない様子…。ついには周りに誰もいなくなってしまったので、まさか突然の休みの日かと頭を過ぎったものですが、ここは前向きに考え、少し辺りを散歩する事にしました。
 線路に沿って北側に10分も歩いていくと、臨津閣(イムジンカク)という、周辺が公園化されているような場所に着くことができます。ここは、朝鮮半島の統一を祈願して造られた観光地で、許可無く出入りできる最後の地点となっており、臨津江駅前にはあれほど閑散としていたのに、ここでは観光客で賑わっていて、幾分ホッとしたのを覚えています。
 臨津閣の一番北側は臨津江(江…は韓国語で“川”の意味)という川が流れており、その手前には有刺鉄線が付けられた柵が設けてあります。恐らく、ここが民統線としての境目となっているのでしょう。川には鉄橋が架かっており、向かって左側が現在の京義線、右側は朝鮮戦争時代に破壊された旧橋脚なのだそうです(前回の写真参照)。かつての時代を思い起こさせてくれそうな産物でもありました。

 30分程して臨津江駅に戻ると、案内所の窓口は開いていて、早速自分はDMZツアーを申し込みました。パスポートを見せると、簡単に手続きは終了、日本語(…と中国語で)で書かれたパンフレットと、“13”と書かれた観光証を受け取りました。ここから先はこの観光証を身に着けてないといけないわけですね。
 次の都羅山駅行きの列車は10:23発でしたが、改札は韓国鉄道の決まりに則り15分前から行われました。しかし、少し様子が違います。改札は迷彩服を着た韓国軍憲兵によって行われているのです。乗客1人1人に身分証(パスポート)の確認、往復乗車券の確認、そして観光証の確認を行い、そして手荷物検査とボディーチェックが行われ、ようやく乗客はホームに入る事ができるのです。早速物々しい感じになってきました。

   改札(荷物検査も)は軍によって行われます…臨津江駅にて   ついに臨津江を渡りました(民統線を超えています)

 そして、程なくソウルからの列車が到着。長いホームの真ん中辺りに停まり、先程と同じように憲兵によって乗客を全員降ろしています。そして、乗客が全員降りると一旦ドアを閉め、ホームの先端、即ち自分達のいる側に列車は移動してきて、再びドアは開きました。このように、今ソウルから乗ってきた乗客と混在しないようにしているわけです。
 自分達を乗せると、すぐに列車は発車します。そして、先程散策した臨津閣を右手に見ながら、ついに列車は臨津江を渡りました。今はもう民統線の先に位置するわけで、一気に緊張感が高まります。所々に軍の施設も見えたりしますが、言われないとただの田舎の風景…という感じもします。そして、臨津江駅を出発してから約5分、列車は終点の都羅山駅に到着しました。もうここは、DMZの南方限界線まであと少しの所なのです。

   次駅は平壌と書いてあります…都羅山駅にて   かなり立派な都羅山駅

 都羅山駅は予想以上に立派な駅で、広い構内と駅舎をもっていましたが、それらを見る暇はなく、早々と自分達は憲兵に言われるがままに外に連れていかれ、1台のバスが待つ駐車場へと案内されました。
 ここからはバトンタッチで、バスの運転手さんによる観光ツアーが始まるわけです。しかし参加者というと、熟年カップルが2組4人と、10歳ぐらいの子供達6人と、その付き添いの人が2人…、そして自分の、合計13人という陣容でした。DMZツアーは早い者勝ち…という情報を聞いていたため、自分は早めに乗車券を購入したりしていたのですが、今回はこんなにも空いていて、しかも周りは全員韓国人ということで、微妙に気まずい感じでした。まあ平日(金曜日)の朝1の便だったからかもしれませんが…。

 まず向かったのは、南侵第3トンネルという所です。ここは南北分断後の1978年に見つかったもので、北朝鮮側が、韓国侵攻を狙って掘った物とされています。地下トンネルの長さは1635m、幅、高さ共に2mで、ソウルまでの距離が52kmにしかならない地点で発見されたということで、韓国の人達をショックに陥れたそうです。ここではヘルメットを被り、トロッコで地下に下りていくのですが、これがなかなか立派なトンネルで、パンフレットによると、北朝鮮の完全武装した兵士が、1時間以内に3万人移動できるもの…とされており、当時の北朝鮮の南侵意欲というものの凄さが窺えるというものでした。

   バスで向かった南侵第3トンネル   ここからトロッコでトンネル内に向かいます

 他に、このDMZについてのビデオも見せられるのですが(日本語で聞けるイヤホンがあります)、この地帯は休戦から約50年間、人がほとんど立ち入らない場所でもあり、貴重な動植物が今でも生息しているとのこと。南北が統一された時、この場所は世界的にも重要な場所になる…みたいな解説をしており、成程とも思いましたが、現在の北朝鮮の状況もあるので、なかなか素直には感心できないものでした。
 気を抜くと、普通の観光地とも思えてしまいそうな場所なのですが、あくまでもここは、休戦状態にある分界線付近。南北分断の現状が、リアルに自分に届いてきた感じもしました。

 そして、次に向かったのは都羅展望台。バスで都羅山という山に上って行くと、迷彩色を施した展望台があります。これが都羅展望台で、中には講堂のような広い部屋があり、その前方は一面ガラス張りになっていて、北朝鮮の原野が見渡せるようになっています。ガラスには分界線が描かれており、ある位置に立つと、それが原野のどこに引かれているかが分かるようになっています(ここは撮影禁止です)。

   ここも微妙に物々しい、都羅展望台   向こうは北朝鮮の大地です

 その建物の脇には、双眼鏡を備えた展望台があり、500ウォン(約60円)で3分間ぐらい見れるようになっていました。写真撮影もできるのですが、それは双眼鏡から4、5歩下がった場所からでのみです。要するに、柵の脇から撮影する事はできません。恐らく、近くにある軍施設等が入ってしまうからではないでしょうか。
 北朝鮮側には町も見えましたが、これは北朝鮮側の宣伝村で、アパートは建っているものの、実際に人は住んでいないそうです。また、この他には開城(ケソン)という町もあり、すぐ行けそうな距離にあるのですが、実際は同一民族分断という現状があるわけで、複雑な気持ちになってしまいます。また、DMZ内には未だに地雷が点在しているなど、悲しい現実も多々あり、まだまだ解決しなければならない問題が山積みであるということを、改めて感じさせてくれたような気もします。

 最後に回ったのは統一村(トンイルチョン)という所でした。ここは民統線、北方地域にある村として約100世帯が居住している村なのですが、要は韓国側の宣伝村といったところでしょうか。農業で生計を立てているそうで、税金は全額免除だそうです。驚いたのは、ソウル市内と何ら変わらないような路線バスが走っていたということ。一体何のために、そしてどのような区間を走っているのでしょうか…。

   お土産屋…的な要素が大きかった統一村   DMZ内で採れたという、いわゆるDMZ米

 バスは統一村をぐるっと回って、お土産屋的な場所に到着しました。ここでは食堂も売店もあり、30~40分ほどの休憩をとるそうです。自分はおなかが空いていなかったので、売店で売っていたアイスを食べましたが、ここでもバスに乗ってきた観光客が大勢いたことから、要は韓国のツアーとかで、最後にキムチ屋に寄るのと同じやり方かな…なんて思ったりしました。

 そしてバスは統一村を発車、車通りの少ない(しかし、道は広い)道を通って、再度都羅山駅へ戻りました。この途中には高速道路のインターチェンジなるものも建設されており、南北統一へ向けての工事が進められているとも言えそうですが、何となく自分的にはしっくりこないものがありました。言ってしまえば、まずは表面的な部分だけ構築している…という感が否めないのです。

   ヨーロッパ直通への構想が書かれてありました   未だ稼動する事のない税関場

 これは、最後に見た都羅山駅にしてもそうでした。いずれは韓国の出国駅として、重要な役目を果たすものと思われるのですが、誰もいない税関場や荷物検査の機械等があるのを見ると、どうも他にやるべき事があるような気がしてならないのです。施設は立派ですが、立派なだけに空しくなってきます。
 構内も広く、1日に3本しか列車は来ないのに、ホームは3つもあります。もちろん駅舎側のホーム以外は常に閉鎖されていて、そちらに入る事はできません。それなのに、それらのホームには既にエスカレーターなんかも設置されていたりして、かなり象徴的な意味合いが強い駅のように思えてきてしまいました。
 …そう、このDMZツアーに参加してみて、この周辺一帯は、“立場”とか“象徴”が支配しているエリアなんだと、深く感じてしまったのです。“現実”より先に“象徴”が出てきてしまってる…。恐らくその不自然さが、自分的にしっくり来なかったのでしょうね。…色々な印象を受けながらも、北朝鮮と韓国の“今”を間近に見ることができ、大変貴重な体験ができたとは思いました。

   構内も広かった都羅山駅   北朝鮮まで鉄道が延びるのはいつの日のことか…


 ●ソウル地下鉄、広域電鉄全線制覇!

 インパクト大だったDMZツアーでしたが、今回の本来の目的は、ソウルの都市部を走る地下鉄、広域電鉄に全て乗る!…というものでした。地下鉄は分かりますが、広域電鉄とは何かと言うと、いわゆる韓国鉄道による通勤路線の事です(今までは“首都圏電鉄”と呼ばれていましたが、2005年の1月の韓国鉄道の公社化を受けて、広域電鉄と改められました)。
 これらの広域電鉄と地下鉄は、各線で相互乗り入れを行っております。例えば、地下鉄1号線の本来の区間はソウル~清涼里(チョンニャン二)間なのですが、韓国鉄道の京元線、清涼里~議政府北部(ウイジョンブプクプ)間と、京釜電鉄線(キョンブジョンチョルソン)、ソウル~天安(チョナン)間と、京仁線、九老(クロ)~仁川間と相互直通運転を行ってるのです。そして、一般的にはそれら全てを“1号線”と呼んでいて、韓国の一般乗客者にとっては、どこが地下鉄(鉄道会社という意味で)区間で、どこが韓国鉄道区間とかは分からず利用しているのが現状です。また、韓国人にとって通勤電車は、全て“地下鉄(チハチョル)”と呼ばれています。

   最近はホームドアの新設が相次いでいます…乙支路3路にて   今まさに延伸へ向けて工事中です…議政府北部にて

 これらが明確に知られてないのは、鉄道会社が別でも、運賃は一元化されているというのが大きな要因であると言えます。ソウルの地下鉄は、日本の東京と同じように運営する会社が2つあり、しかも韓国鉄道もそれらの路線網に加わっているのですが、それらの会社間で乗り換えそしても改札を出る事はなく、運賃は通しで買えるのです。逆に、同じ韓国鉄道同士でも、広域電鉄以外…例えば京義線からソウルで1号線(京釜電鉄線)に乗り換えといった場合には、運賃は別になってしまいます。日本とは異なるシステムがここにはあるようです。

 今回完乗を達成できたのは、昨年の5月に幾つかの路線を既に制覇したところによるものが大きいのですが、それでも今回の残り時間はギリギリな感じでした。ソウル首都圏網を見ていただければ分かるとは思いますが〔http://www.seoulnavi.com/map/subway_l.html(ソウルナビのHPから引用)参照〕、その路線網はかなり広大なものになっており、確かに1日や2日で終わるものではありません。今回も、釜山から戻ってきた日の夜や、京義線で都羅山から帰ってきた日の午後、そして帰りの日の飛行機までの時間…と、使える時間は全て費やしていたような気がします。これによる達成感は大きいものですが、とりあえず自分の乗った路線を改めて振り返る事にしましょう(…先程の背景に則り、ここではソウルの地下鉄を紹介するにあたり、広域電鉄も含めた説明にしたいと思います…また、情報は特記が無い限り、2006年10月現在のものとします)。

   ・1号線

   公社化され、車両の塗装も新しくなった1号線1000系   現在の1号線の主力、5000系(トングリ車)

 路線区間は先程書いた通りです。地下鉄区間より広域電鉄区間の方が遙かに長く(このため、地下鉄車両を見れる割合は少なくなっています)、ほとんどの列車がソウル都心部を貫くような運転形態になっています。地下鉄と韓国鉄道では電化方式が異なるため、列車は全て交直両用で、これら境目ではデッドセクション(死電区間)を通らなければならず、車内の電気(エアコンも)が一旦消えるといった光景が日常に起きています(日本の常磐線の、取手~藤代間と同じです)。
 運転時間が2時間を越える列車も珍しくなく、それらは頻繁に運転しているため、東京の湘南新宿ライン顔負けの路線とも言えそうです。このためか、地下鉄、広域電鉄を含めて唯一の急行運転を実施している路線でもあり、それらは龍山(ヨンサン)(一部ソウル)~天安間と、龍山~東仁川(トンインチョン)間で見ることができます。

   1000系旧塗装…前面のデザインが異なる車両もあります   こちらはソウルメトロ所属の1000系(手前)

 元々、韓国鉄道側の車両は白地(ステンレス車の5000系は無地)に黄と緑の帯でしたが、公社化をきっかけに、白地(同じく5000系は無地)の車体に先頭車正面とドア部のみ紺と赤のアクセントが入る塗装に、順次塗り替えられています。また、ソウルメトロの車両は赤が貴重の塗装となっております。
 沿線には、東大門(トンデムン)、仁寺洞(インサドン)、富川(プチョン)、仁川、水原(スウォン)と、どんなガイドブックにも載っているような観光地が多いので、利用する事は多い路線だと思います。

   ・2号線

   2号線の最新型、新2000系   新2000系の車内…モニターが設置されています

 全線ソウルメトロによって(2005年1月に、ソウル特別市地下鉄公社から改称)運行されています。市内を一周する本線(10両編成で運転)と、新設洞(シンソルドン)~聖水(ソンス)間(4両編成で運転)、新道林(シンドリム)~カチサン間(6両編成で運転)の支線で成り立っています。
 環状線であり、ラインカラーも緑であることから、日本人からはソウルの山手線なんて言われていたりするそうです(そして、常に混んでいる路線でもあります)。

   新車によって置き換えられる予定の、初代2000系   2号線の支線では、6(又は4)両編成で運転されています

 開業は1980年(環状運転開始は1984年)で、当初から走っている車両が多く老朽化が進んだため、それらの置き換え目的で、2005年に新型車両が登場しました。ソウルの地下鉄車両は、種類ではなく、路線によって車両の形式を分けているので、新しい車両も古い車両も、2号線を走っていれば2000系と呼ぶのですが、そのため今回登場した車両は、新2000系と呼んでいるそうです。
 沿線には、ロッテワールドのある蚕室(チャムシル)、ソウルを代表する学生街である新村(シンチョン)、お洒落なエリアとされている江南(カンナム)地区等があります。それらとソウル中心部とを1本で結び、他の地下鉄路線とも連絡している駅が多いため、目的地が2号線の駅でなくても、乗る機会は結構多いと思います。実際自分も、ソウルで一番乗った回数が多い路線というのは、この2号線だと思います。

   ・3号線

   ソウルメトロ所属の3000系   こちらは韓国鉄道所属の3000系

 3号線は、ソウルメトロの水西(スソ)~紙杻(チチュク)間と、韓国鉄道一山線(イルサンソン)、紙杻~大化(テーファ)間が、実質的な営業区間となっています。韓国鉄道の区間がありますが、電化方式は地下鉄に合わせたものとなっているので、境目でのデッドセクションは存在しません。また、韓国は地下鉄が右側通行(道路も同じです)、国鉄は左側通行(恐らく、日本統治時代の鉄道のシステムの影響でしょう)なのですが、この路線ではやはり地下鉄に合わせ、全線右側通行となっています。
 韓国鉄道の車両は、以前は無地に赤と青の線でしたが、現在では乗り入れ先の地下鉄のラインカラーに合わせたのか、塗り分けは1号線と同じで、オレンジを貴重としたものになっています。ソウルメトロ所属の車両は、この線開業の1985年に登場したものなので、近々新車が登場してくるのではないでしょうか。
 沿線には景福宮(キョンボックン)、江南地域随一の繁華街、狎鴎亭(アプクジョン)等がありますが、1号線や2号線ほど乗る機会は無いと思います。

   ・4号線

   ソウルメトロ所属の4000系…韓国鉄道3000系と同じです   韓国鉄道所属の2000系…韓国鉄道5000系と同じです

 4号線は、ソウルメトロ所属のタンコゲ~南泰嶺(ナムテリョン)間と、韓国鉄道所属の果川線(クワチョンソン)、南泰嶺~衿井(クムジョン)間、安山線(アンサンソン)、衿井~烏耳島(オイド)間が、実質的な営業区間です。3つの路線がありますが、これらは長い一本の路線で、列車は通しで運行(北側はほとんどタンコゲ駅まで行きますが、南側は途中折り返し多数有り)されています。
 ソウルメトロと韓国鉄道の相互乗り入れ路線なので、途中の境目駅でやはりデットセクションが設けてあるのですが、ここで特筆されるのは、そこが地下区間であるということです。つまり、トンネルの中で電気が消えたりするのです(補助灯はさすがに点いてますが…)。また、地下鉄は右側通行、国鉄は左側通行と言いましたが、4号線はこの規則に素直に従い、途中で左右の進行方向が逆になります。日本ではまず考えられません…。これらはソウルメトロと韓国鉄道の境である、南泰嶺~ソンバウィ間で行われます。興味ある方は是非乗って、自分で確かめてみて下さい(笑)。
  韓国鉄道の車両は、以前は無地にオレンジの線でしたが、現在では乗り入れ先の地下鉄のラインカラーに合わせ、塗り分けは1号線と同じで、水色を貴重としたものになっています。ソウルメトロの車両は、1号線のソウルメトロ車両の新1000系や、3号線の韓国鉄道車両3000系と同じデザインのものです。
 沿線の主な名所として、大学路(テハンノ)と呼ばれる場所にある恵化(へファ)、南大門市場(ナンデムンシジャン)のある会賢(フェヒョン)、そして、何といってもソウル繁華街の代名詞とも言える明洞があり、それらとソウル駅とを結んでいるため、4号線は観光客に最も使われる路線になっているかもしれません。

 ここまで1号線から4号線が、ソウルメトロ所属の路線です。また、2号線の支線を除いて、全てが10両編成で運転されています。
 そして、次の5号線から8号線までの路線は、ソウル特別市都市鉄道公社によって運営されています(何度も言いますが、会社は違っても運賃は一元化されています)。韓国鉄道との乗り入れは行われていません。また、車両は帯の色が違うだけで、基本的には全て同じ仕様です(製造時期によって、側面のデザインが多少違うくらいです)。全線ワンマン運転で、全線右側通行となっております。

   ・5号線

   5号線から8号線までの車両は、基本的に同じデザインです   ホームドア設置の準備段階だった金浦空港駅

 5号線は、傍花(パンファ)~江東(カンドン)までの路線と、江東から二股に分かれ、上一洞(サンイルトン)方面と、馬川(マチョン)方面の路線からなる、Y字型形態の運行となっています。
 昼間時には6分毎の運転となっているため、二股に分かれてからは各方面12分毎の運転と、少し間が空いてしまってます。通常、地下鉄の駅構内では、時刻表はあまり見かけないのですが(何分毎…とは書いてあるのですが…)、これくらい間が空いている運転だと、駅に時刻表が掲載されているようです。
 5号線はソウルの国内線専用空港である(一部国際線も運航)金浦空港(キムポコハン)を通り、また、市内中心部も通っているため、都市鉄道公社の中では一番乗る機会が多い路線かもしれません。

   ・6号線

   前回で既に完乗を果たしていた6号線

 6号線は、烽火山(ポンファサン)から鷹岩(ウンアム)までの複線区間と、鷹岩から単線一方通行でループ線のようになって、また鷹岩まで戻ってくるというルートを組み合わせた、投げ縄のような不思議な路線形態となっております(路線図を見て頂ければ一目瞭然です)。
 このループ区間は半時計回りのみの運行で、逆方向には走っていません。逆方向に向かうには、一度鷹岩駅に出て、ループ区間に突入する別の列車に乗り換えなくてはならないのです。趣味的には結構興味深い路線ですが、利用する人は、どんな思いでこの区間を使っているのでしょうか…。
 沿線で最も有名な所は、付近に米軍施設があって、インターナショナルなエリアとして発展していった街、梨泰院(イテウォン)です。むしろ、このエリアは6号線開通によって便利になった場所とも言え、観光客も多く利用しているとは思いますが、それ以外に6号線を利用する事は少ないと思います。

   ・7号線

   こう見ると、前面部は割りと横長な印象も受けます

 7号線は長岩(チャンアム)~温水(オンス)間を走る路線で、住宅地ばかりを通り、ソウル中心部を通らない経路となっているので、観光客はほとんど利用しない路線かもしれません。しかし、ソウル市内でも新市街地にあたる江南地区を横断する路線でもあるので、地元の高所得者の利用は多いかと思われます。
 この路線も6分毎に運転してますが、北端の長岩~道峰山(トボンサン)間の1駅区間だけは、電車が3本に1本しか走っていないため(つまり、18分毎の運転)、向かう際(日本人でそんな人は皆無かと思われますが…)には注意?が必要です。もちろん、この長岩駅にも自分は行きましたが、周辺の車両基地建設の見返りで作られた感のある駅でしたね。

   ・8号線

   6両編成と、比較的短めな8号線   不燃材を用いた結果、椅子はただのステンレス素材に…

 8号線の運転区間は岩寺(アムサ)~牡丹(モラン)間で、途中に、ソウル地下鉄で最も深い所にある、南漢山城入口(ナムハンサンソンイプク)駅があります。唯一2号線の内側に乗り入れてない路線でもあり、普通の観光客が利用する事は、まず無いと思われます。また、ソウルの地下鉄の中で一番短い路線でもあります。
 これら5号線~8号線の車内は、写真のように不燃材を用いた結果、座席は全て硬いステンレス素材のものになってしまいました(一部1号線~4号線の車両でもそのような状態です)。以前来た時はクッション性の座席も使用していただけに残念なのですが、火災防止という意味ではやむを得ないのでしょう。大邱地下鉄の火災事故での教訓が、ここでも生かされているという事ですね。

   ・盆唐線(プンダンソン)

   形式的には2000系となっている盆唐線の車両   韓国鉄道の2000系、5000系と同じ車両ですが、ワンマン対応になっているところが特徴です(車掌が乗っていません)

 この線は、韓国鉄道所属の路線で、現在宣陵(ソンヌン)~宝亭(ポジョン)間の営業となっております。やはり観光客利用は皆無に等しいですが、将来は、北側は2号線の往十里(ワンシムニ)、南側は京釜線の水原まで到達する予定らしいので、その時は少しは利用されるようになるかもしれません。また、南側に延びた時、現在の宝亭駅は廃止になるそうです(現在は車両基地併設の見返りの為の駅で、元から暫定的な意味合いが強い…)。列車は、半分くらいが1つ手前の梧里(オリ)駅行きとなっています。
 車両は韓国鉄道所属という事で、韓国鉄道の2000系・5000系と同じデザインのものです(…というか、盆唐線の車両も2000系とされていますが…)。塗り分けも同じで、貴重の色はラインカラーである黄色となっています。これらの車両を振り返って見てみると、全ての車両には、韓国鉄道のカラーである紺色が使われているのが分かると思います。
 また、上の写真の車両形式は両方とも同じものですが、左側はトングリ(朝鮮語で、丸っこい物…を意味します)車と呼ばれているもので、こちらの方が年代的には新しい車両です。また、これらは2000系と5000系にも存在しています(最近は、デザインが若干異なるトングリ車が出てきたりしました)。

   ・中央電鉄線

   格段に便利になったと思われる、中央線の徳沼駅   電鉄線ホームの向こうには長距離線のホームが存在します…ホームの高さが異なる事に注意!…徳沼駅にて

 龍山駅から回期(フェギ)駅を通って(この区間は京元線と呼ばれてました)、中央線の徳沼(トクソ)駅まで達する韓国鉄道の路線です。回期から徳沼までは、2005年に中央線の広域電鉄化によって開通しました。これは、今までの長距離用の路線を広域電鉄も通れるようにしたもので、利便性は一気に上がったものとなりました。
 それまでの中央線は、長距離のセマウル号やムグンファ号が、一日に10数往復しか走っていなかった路線だったのですが、それが通勤電車によって、一気に約20分毎の運転になったのです。こういった広域電鉄化というのは各地で望まれていて、現在は京元線の議政府北部より北側が工事中とのことです。
 元々、龍山~回期間が1号線系統の路線だった事もあって、車両は韓国鉄道所属の1000系や5000系が使われていましたが、2008年には新型車両が登場とのこと…。非常に楽しみです。

   ・仁川地下鉄1号線

   面白いデザインの仁川地下鉄

 前回この路線は制覇してしまったため、今回は乗っていないのですが、一応ソウル首都圏に組み込まれている路線でもあるため(運賃は同じく一元化されています)、最後に取り上げておきます。
 この路線は仁川広域市地下鉄公社によって運営されており、キョリョン~東幕(トンマク)間の営業となっています。韓国初の女性駅長の起用、駅構内のイベントスペース貸し出し、車椅子対応型券売機の採用など、開業時から個性的な経営方針を打ち出している会社でもあります。
 新しく開発された仁川広域市のニュータウンを結ぶように建設されたため、やはり観光目的で乗ることはなさそうですが、いずれは、現在工事中の仁川空港鉄道の駅と接続させる予定であるために、少しは乗る機会が増えてくるものと考えられます。また、1号線となっているだけに、2号線が建設される予定もあるそうです。 


 …ということで…やっと終わりました(汗)。久しぶりに本当に長い時間をかけて記事を書いたと思います。掲載した写真も、今までの中で最多の73枚!…データが重くなってしまい申し訳無いのですが、自分の行動、そして韓国の今(…ほとんど鉄道についてですが…)が少しでも伝わっていただければ幸いです。
 これでソウル首都圏の地下鉄、広域電鉄は完乗してしまったわけですが、本文にも触れた通り、仁川空港鉄道の建設や、京元線の延長など、まだまだその路線網は拡大の傾向にあります。要するに、まだまだ“終わり”ではないわけですね。それでこそ乗り甲斐があるというものです(笑)。今回の旅は、空港での初めての体験、色々な街で乗った鉄道やDMZでの出来事がある等、本当に目白押しな感じでしたが、最後まで読んで頂いてありがとうございました!

 ☆ソウルナビのHP(ソウルのホテル予約等はこれで!)…http://www.seoulnavi.com/

テーマ:一人旅 - ジャンル:旅行

この記事に対するコメント

お帰り?
君、韓国好きだね~。
無事で何よりだっちゃ。(すみません、キャラに似合わない言葉遣いをしてしまいました。)
【2006/10/22 21:03】 URL | りこ #- [ 編集]


あ~、、っていうか、この時期に韓国。。
ニュース見てるかい?
無事で何よりだっちゃ。。。。(すみません。)
【2006/10/22 21:05】 URL | りこ #- [ 編集]

そりゃ見てますけど…
全然普通でしたけどね…。
まあ行ってみるもんですよ。
【2006/10/22 21:19】 URL | 竹内 #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://pftakeuchi.blog41.fc2.com/tb.php/254-afa6507a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

竹内

Author:竹内
1980年1月29日生まれのO型。
3歳からクラシックピアノを始め、
高校ではジャズに目覚め、大学では
バンドも経験する。現在は関東を
中心に、ライブハウスやホテルの
ラウンジ、レストラン等で演奏を
行っている。また、写真好きが興じて
簡単な写真撮影の仕事もしている。
…そんな29歳です。



次回のリーダーライブ

2010年2月7日(日)
外苑前 Z・imagine
Open…18:00~(予定)、
1st.…18:30~、2nd.…20:00~、
Charge…2700円(ドリンク別)
(Pf)竹内大輔
(B)池田暢夫
(Ds)佐々木俊之



竹内大輔トリオCD発売中(試聴可)!

   cd-pictures-mini.jpg
       Pictures

     ☆試聴はこちら



カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -



ブログ内検索



竹内大輔までのメールはこちらへどうぞ!

名前:
メール:
件名:
本文:



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。